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本学は,日本で第2号機となるヘリウム液化装置が設置されたことからもわかるように,低温を用いた学問と教育の拠点的存在であり,半導体,磁性,超伝導などの物質科学分野で顕著な業績を上げ,また多くの優れた研究者,教育者を世に輩出してきました.液体ヘリウムは極低温を得るための寒剤として用いられていますが,本学では理系研究室の約40%が利用しており,教育と研究の重要な基盤となっています.例えば,タンパク質の構造解析に不可欠な核磁気共鳴装置,脳からの微弱な電磁気信号を検知する感度磁気測定装置,未来の電子デバイスであるスピントロニクスなどの研究など,物理系のみならず化学,生物,さらに薬学,医学までを含む広い分野で利用されています.
本センターの最も重要な業務は,低温を用いる教育研究に不可欠な液体ヘリウム及び液体窒素を学内に安価に安定して供給することです.この目的は,@必要なときにいつでも寒剤を供給し,学内の高度な研究・教育を推進すること,A希少資源であるヘリウムをリサイクルして安価に供給し,予算の効率的運用に資すること,B冷凍機を用いた冷却と比較して,寒剤(ヘリウム)による冷却で大幅な節電を実現すること,です.
これらの目的遂行のため,低温センターの各分室にはヘリウム液化装置が設置されており,高圧ガス保安法に則って運転し,年1回吹田市(吹田分室),豊中市(豊中分室)による保安検査に合格するように厳しく維持,管理されています.実験などで使用して気化したヘリウムガスをキャンパス内に張り巡らせた回収配管により高い効率で回収し,ヘリウム液化装置を用いて再び液化してリサイクルに努めています.
安全衛生管理部と協力し,液体寒剤と高圧ガスに関する安全講習会を,春季,秋季安全衛生集中講習会で毎年行っています.また兼務先の学生実験などを担当し,学部教育にも協力しています.春に行われるいちょう祭などでは施設を公開し,模擬実験等を行って低温科学の世界を広める活動も行っています.
低温寒剤を利用する研究者間の交流を活発化させるため「大阪大学低温センターだより」を発行し,学内外へ配布して情報発信をしています.また液体ヘリウム利用者を中心にした研究活動報告書の刊行も行っています.