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学内共同教育研究施設

お問い合わせ

低温センター豊中分室

〒560-0043 大阪府豊中市待兼山町1-1
TEL.06-6850-6090(ヘリウム液化室)
低温センター吹田分室
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-1
TEL.06-6879-7985(ヘリウム液化室)

ヘリウムガス純度モニターhelium monitor

回収ヘリウムガス純度モニター

 低温センター豊中分室には,研究室から回収されて低温センターへ戻ってくるヘリウムガスの純度を常時モニターしています.ご存じでしたか?
 純度計は6系統に分かれていて,1.理学部F棟,G棟,北ブロック,2.旧極限量子科学研究センター,3.理学部C棟,H棟,低温センター実験棟,リノベーションセンター,4.基礎工学部,5.基礎工学部J棟,文理融合棟,6.構造熱科学研究センターを監視しています.低温センターに設置されているウェブカメラでモニターを撮し,利用者がインターネットを通じてリアルタイム(3秒毎の更新)で純度を確認することができます.デジタル表示は不純ガス純度です.つまり表示が10%の場合は,回収ガスのヘリウム純度が90%ということになります.

回収ヘリウムガス純度モニターの役割

 回収ヘリウムガスの純度が低下すると,低温センターに備蓄しているヘリウムガスの純度がどんどん悪くなります.ある程度の純度までなら,それを精製しながら液体ヘリウムを製造することが可能ですが,限界を超えると,純ガス(純度99.995%のヘリウムガス)を回収ガスに混ぜてヘリウムガスの純度を上げて液化装置に導入しても,液体ヘリウムを製造できなくなってしまいます.ご存じのように,現在世界的にヘリウムの需給が逼迫しており,低温センターで購入しているヘリウムの純ガスも,こちら希望どおりには入荷されていません.つまり回収ガス純度が低下し,もしヘリウム純ガスが納入されない事態になると,液体ヘリウムを製造できなくなり,利用者の皆さんへの供給も出来なくなります.こういった事態を防ぐために回収ヘリウムガスの純度をモニターし,純度が低下した場合は低温センター職員が純度回復のための対応に当たります.
 真空ポンプを用いて液体ヘリウム層を減圧している場合,思わぬ所から空気を吸い込んでいる場合があります.ポンプを用いる場合は装置に漏れがないか特に注意してご利用ください.

 なお回収ガス純度が低下した場合,低温センター職員が研究室に立ち入り,ヘリウムガス回収ラインを閉止する等の検査を行うことがあります.
 ご迷惑をお掛けいたしますが,ご協力の程よろしくお願い申し上げます.

回収ヘリウムガス純度モニターの利用方法

ウェブブラウザーで
http://133.1.145.202
にアクセスします.
左上のバナーの”シングル”をクリックすると,上図のモニター画面を見ることができます.情報は約3秒ごとに更新されます.
ログインのためにはユーザー名とパスワードが必要です.ご希望の方はヘリウム液化室までお尋ね下さい.

例えば,こんな使い方をしてください・・・.

case 1
低温センターから電話
「もしもし,○○系統のヘリウム純度が落ちています.お手数ですが,研究室のヘリウム回収ラインなどのチェックをお願いします.」

研究室A教員「よし,調べてみよか」
      「おっ,ここ,なんか漏れてそうやな.なおしてみよう.」
・・・修理後

研究室A教官「これでどうや.ちょっと”ヘリウムガス純度モニター”の値が良くなるかどうか,30分ほど見ててくれへんか.30分はタイムラグや.研究室で漏れをなおしても,すぐには低温センターのガス純度は上がらへんからな.しばらく待って良くなってくれば,なおしたところが悪かったちゅうこっちゃ.」

case 2
液体ヘリウムを真空ポンプで減圧排気しながら使用する実験装置を前に…

研究室A教官「この実験装置もうだいぶ古いし,ひょっとするとどこか漏れているかもしれへんのや.これからポンプでヘリウムを引き始めるけど,外から空気を吸い込んだら大変や」「そこでこの”ヘリウムガス純度モニター”を見ながら,もし〇〇系統の純度が落ちてきたら直ぐ排気をストップするんやで」「その後漏れ箇所探しや…」

ヘリウムガス回収率について

 ヘリウムガスの回収率は研究室によって異なりますが,平成26年度の平均値は理学研究科で82%,基礎工学研究科は85%でした.豊中キャンパスでのヘリウムガス回収率の分布を図に示します.
回収率が90~100%の研究室は全体の54%,80%以上の研究室は,全体の8割弱でした.利用者の皆さんのご努力とご協力に感謝いたします.

おまけ-ヘリウムベッセルについて

 液体ヘリウムの貯蔵容器(ストレージベッセル,単にベッセルとも呼ぶ)は,容器50 ℓぐらいまでの液体窒素シールド型の容器と,それ以上の容量のものに使われている液体窒素を用いないガスシールド型に大別されます.それぞれ特徴があり,また取扱い方が異なるので注意する必要があります.容器の大型化に伴って性能の良い製品が多くでるようになったのが、ガスシールド型の容器です.デュワーの断面の模式図を図に示します.高真空層の中に設けられた銅製のシールド板は蒸発ガスにより冷却されるようになっており,また複数枚設置することで板間の温度差を小さくして,輻射熱の流入を減らす工夫がされています.さらに輻射熱を防ぐために,金属を薄く蒸着させたフィルム(スーパーインシュレーションフィルム)を何百層にも巻いてあります.このため最近では,液体窒素シールド型と遜色のない蒸発量の少ない製品が販売されています.容器上部には、ガス回収用のバルブと接続口,作動圧の異なったいくつかの安全弁,圧力計がついており,トランスファーチューブ挿入口には,バルブのあるタイプとそうでないタイプなどが購入時にオプションで選べるものがあります.液体窒素のような昇圧弁は付いていません.通常はガス放出弁を開けて,その先を回収ラインにしっかりと繋いでおきます.液体ヘリウムベッセルは非常に高価で,種類にもよりますが1台100~200万円以上するものもあります.振動に弱い構造をしていますので,強い振動を与えたり転倒させないように,使用には細心の注意が必要です.
低温センター今月の標語
「年度の最後です.お世話になった低温機器も一度見回して,異常がないか確認しましょう.」

低温センターからのお知らせ
豊中分室
低温センター・ヘリウム液化装置と寒剤供給についての説明会を行いました.説明資料の抜粋をこちらに掲載いたします.
新しいヘリウム液化装置が到着しました!3月11日に予定されている完成検査を目指して配管,配線作業を行います.その後,3月14日から試運転を行います.4月の供給再開を予定しています.
3月29日(火)にヘリウム供給に関する説明会(豊中分室)を行います.液体ヘリウムご利用の研究室は,どなたか必ず出席して下さい.詳しくはこちらをご覧下さい.
・3月11日(金)は完成検査のため液体窒素の供給はできません.
低温センターキャラバン実施中.ヘリウム回収ラインや実験装置に漏れが無いかチェックしてください.
液体窒素の自加圧容器は期限内に容器再検査を受検してください.

吹田分室