お問い合わせ
これから皆さんが低温での実験をしようとするときに,おそらく液体窒素や液体ヘリウムなどの寒剤を利用することになると思います.これらの寒剤は,通常の扱いをする限りは安定で安全な物質ですが,取り扱いを誤って急速な気化を招くと,一瞬のうちに大量のガスを発生します.容器の中に閉じこめられたような状態でこのような急激なガスの発生がおきると,容器の中には高圧のガスがたまり,最悪の場合には容器が破裂したりして大変危険な事態になります.
液体の圧力が0.2メガパスカル以上になっているか,または35℃になった時に0.2メガパスカル以上の圧力になる液化ガスは,「高圧ガス保安法」に定める所の【高圧ガス】となり,その取り扱いは「高圧ガス保安法」による取り締まりの対象となります.圧縮ガスについては,1メガパスカル以上の圧力のものが【高圧ガス】に該当します (但し,ここでいう圧力は大気圧を0とするゲージ圧で表します).
低温センターなどでヘリウムガスを液化したり,蒸発したガスを回収して圧縮したりしようとすると,この法律に基づいた設備を作らなければなりませんし,日常点検や定期点検を行ってその設備を維持しなければなりません.年に1回は豊中市の検査官による立入検査を受ける必要もあります.また高圧ガス製造保安責任者の免状を持った複数の係員を置かねばなりません.
研究室での普通の実験を行うには,この法律のすべてを知る必要はありません.このことは道を歩いたり,自転車に乗ったりするのに「道路交通法」をすべて知っていなくてもいいのに似ています.しかし子供の時から「人は右,車は左」といった最小限の決まりは教えられて知っています.利用者のみなさんは高圧ガス,特に液化ガスについての最小限の知識を持って,事故なのいよう安全に利用していただきたいと思います.
人類によるヘリウムの開発は,1903年アメリカカンザス州デクスターで石油を採掘中に不燃性ガスが湧き出し,これが1.84%のヘリウムを含んでいたことから始まったといわれています.その後ヘリウムの生産と利用を圧倒的にリードしてきたのは,豊富な天然ガス資源を有するアメリカであり,阻塞気球,ヘリウム飛行船などの軍事的用途で国家戦略的に生産と管理が行われ,1925年には国家備蓄体制を敷いています.日本は産業の発展や低温研究の進展に伴い1960年頃から本格的にアメリカから輸入を始めました.アメリカ西海岸で液体ヘリウムを巨大なコンテナと呼ばれる断熱容器に詰め,約1ヶ月をかけて日本まで海上輸送されてきます.日本はヘリウムを100%海外から輸入しています.そのため非常に稀少で高価なガスとなっています.低温センターではヘリウム純ガスを購入し,これを液化機(Linde
TCF50)で液化して研究室へ供給しています.実験で蒸発したガスは回収配管を通して回収し,不純ガスを除去して再び液化に用いています.したがって特別な事情のない限り,不必要にガスを放出しないように心掛けるとともに,回収ガスの純度を保つように注意してください.
液体ヘリウムの供給可能日及び時間は,
毎週 月~金 9時30分 ~ 15時30分
です.但し年末年始および低温センターが保守管理上必要と認めるときは,供給を停止することがあります.
豊中分室の液体ヘリウムの供給については,
1)利用者は予め低温センターヘリウム液化室に来て供給日を予約します
2)予約日は供給日の前週の月曜の午後3時以降とします
3)希望する供給日の欄に「研究室名」,「供給量」,「申込者」,「電話番号」を記入します
4)ヘリウム運搬容器は供給日の午後3時30分までに低温センターに持ち込みます
5)容器に汲み入れが終わった旨を各研究室に電話連絡をするので,速やかに引き取りに来ます
6)供給量は黒板およびノートに記録しています
7)供給予定のキャンセルは必ず前日までに連絡すること
利用料金の支払い等の詳細は低温センター液化室までお問い合わせください.
1.目 的
本規定は大阪大学豊中地区において教育研究のための液体窒素の供給・取扱いに関する基準を定め、事故を未然に防止することを目的とする。
2.供給日・時間
液体窒素は低温センター液体窒素室において、利用者のセルフサービスにより各自の容器に充填する。液体窒素室の開室日及び時間は、
毎週 月~金 9時30分 ~ 16時30分
とする。但し、年末年始及び低温センターが保守管理上必要と認めるときは、供給を停止することがある。
3.費用の負担
液体窒素の費用は液体窒素室にある所定のカードに書かれた汲み出し量に対して算定する。費用の請求は、各四半期末あるいは年度末に(部局の方式による)各研究室宛、校費振替により行う。
液体窒素の供給単価は、45円/ℓである。
研究室の変更、統合・分離等の異動が生じた場合には、低温センター職員まで速やかに連絡すること。
4.汲出し規定
1)容器には、屋外の窒素タンク(コールドエバポレータ:CE)につながった配管から直接液体を汲み入れる。
2)汲み入れる際に、氏名、汲み出し量等の必要事項を各研究室の所定の用紙に記入すること。但し液体の残っている容器への追加充填は、残存の液量が正確に決定できる場合についてのみ行うことができる。
3)液体窒素の汲み出し中はその場を離れてはならない。
4)汲み出し中に異常があれば、速やかに汲み出しを中止し、低温センター職員へ通報すること。
5.安全講習修了証(旧利用免状)
学内での液体窒素の運搬、汲み出し作業などは、保安管理・事故防止のため安全講習修了証の所持者以外は行ってはならない。低温センターは一定の取り扱い経験を有すると研究室の責任者により認められた者、及び安全講習会の受講者で一定の条件を満たす者に対して安全講習修了証を発行する。液体窒素利用希望者は定期的に開催される安全講習会を受け、安全講習修了証を取得するように努めること。
6.その他
1)コールドエバポレータの運用については高圧ガス保安法に基づき豊中市の直接指導の下にある。利用者はこのことに留意し、法規に反することのないよう細心の注意を払って液体の汲み出し、運搬作業にあたること。具体的には大阪大学安全衛生管理部編「安全のための手引(高圧ガス・液化ガスの取り扱い)」などを参照すること。
2)低温センター内は常時禁煙である。周辺で多量の裸火を使用することも禁止されている。
3)従来用いられているガラス製の容器(いわゆるガラスデュワー)への直接の汲み入れは、安全の立場から廃止の方向へ持っていくものとする。今後運搬容器を購入する際には、金属あるいはFRP製のものを購入すること。
1.目 的
本規定は大阪大学豊中地区において教育研究のための液体ヘリウムの利用・取扱いに関する基準を定め、事故を未然に防止することを目的とする。
2.供給日・時間
液体ヘリウムの供給日は、平日の9時30分から16時30分とする。
但し、年末年始、8月中・下旬(保安検査のため)及び低温センターが保守管理上必要と認めるときは供給を行わない。
3.費用の負担
各研究室は年間使用計画の概要を低温センターに提出すること。当センターではこれに基づき、供給量とその費用金額を決定、通知する。各研究室はこの金額を運営費交付金あるいは外部資金により当センター宛送金すること。費用は供給液体ヘリウムに対し算定する。このほか供給したヘリウムのガス代も同時に算定し、そのガス代は各研究室のガスメーターを通して回収された量に対してのみ返却する。但し液体ヘリウムが残留しているストレージベッセルの場合、蒸発ガス料はとらない。
4.汲出し規定(ストレージベッセル)
1)ストレージベッセルは低温センターに登録すること。
2)ストレージベッセルには必ず2 ℓぐらいの風船をつけること。
3)汲出しを申込む者は当センター内の所定の黒板にその旨記入すること。但し、供給量の都合等によりオペレーターが供給日を変更、指定することもあるので、その指示に従うこと。
4)利用者は、供給日の午後3時までに、十分予冷された容器をセンターに運び込むこと。またオペレーターから液体ヘリウム充填の連絡があり次第できるだけ早く持ち帰ること。
5)供給時には前の液体ヘリウムが若干残っている状態が望ましい。
6)研究室で実験用クライオスタットにトランスファーする前には、クライオスタットの真空度を、その都度シリコンオイルマノメーター(各研究室に備えること)で測定し、差で20
mm/分以下であることを確認すること。
5.ヘリウム回収上の注意
1)ヘリウムガスは各研究室のガスメーターを通して回収すること。風船などに回収したガスは低温センターにあるコンプレッサーにより直接回収することができる。この際当センター内の所定の用紙にその旨記入すること。
2)ガスメーターの先にはオイルトラップを設け、回収ガスの逆流を防ぐこと。トラップの形状・寸法などは低温センターに標準品があるので参照されたい。オイルは当センター指定のコンプレッサーオイルを用いることとし、必要なときは当センターで配分するのでこれを利用すること。なお実験の都合上逆流止めの設置が不可能な場合には当センターと相談すること。
3)実験終了後は、必ず回収配管のバルブを閉めること。
4)回収ヘリウムガスの純度は、常に低温センターのモニターでチェックされている。不純ガスが混入した際は当センターで原因を調査し、場合によっては不純ガスを混入させた研究室に対しヘリウムの供給をストップすることがある。また混入量が大量のときには、回収ガス代金の計算において制裁金を要求することがある。
5)ガス回収上不審な点があれば、当センターは必要に応じて研究室の責任者立会いの下立ち入り調査を行う。
6)フィールドワークなどの都合で液体ヘリウムを外部に持ち出すときは、事前に低温センターと協議のこと。
7)外部より液体ヘリウムを持ち込む場合には、事前に低温センターへ連絡すること。またこの場合回収率で100 %を越える分の回収ガスについては有償での引き取りを断る場合がある。
8)保安検査実施に伴いヘリウムガス回収をストップする(通常8月下旬、約1週間)ので注意されたい。
6.安全講習修了証(旧利用免状)
学内での液体ヘリウムの運搬、汲み出し作業などは、保安管理・事故防止のため安全講習修了証の所持者以外は行ってはならない。低温センターは一定の取り扱い経験を有すると研究室の責任者により認められた者、及び安全講習会の受講者で一定の条件を満たす者に対して安全講習修了証を発行する。ヘリウム利用希望者は定期的に開催される安全講習会を受け、安全講習修了証を取得するように努めること。
8.低温センターのその他のサービス事項
1)ストレージベッセルの貸し出し
当センターは必要と認めた場合、研究室にストレージベッセルを貸し出す。使用料は、50 ℓ以上のヘリウムベッセルは300円/日、50 ℓ未満のヘリウムベッセルは200円/日とする。使用料は年度末に精算し、3条と同じく請求する。
2)キニーポンプの使用
当センターのキニーポンプを使用するときはオペレーターに申し出て、所定の事項を記入すること。
3)リークディテクター貸し出し
ヘリウムガス用、フロンガス用があり、教官に対して貸し出しをする。貸し出し中の故障に際しては完治するまでの修理費用を請求することがある。
4)関連図書の貸し出し
付属図書館の規定に従って、所蔵の図書を貸し出しする。
9.その他
1)液体ヘリウム製造については高圧ガス保安法に基づき、豊中市の直接指導の下にある。利用者はこのことに留意し、法規に反することのないよう細心の注意を払って作業にあたること。具体的には大阪大学安全衛生管理部編「安全のための手引(高圧ガス・液化ガスの取り扱い)」などを参照すること。
2)低温センター内は常時禁煙である。周辺で多量の裸火を使用することも禁止されている。
昭和49年5月2日 規定
昭和58年6月9日 改正
平成4年1月29日 改正
平成5年4月1日 改正
平成8年4月1日 改正
平成15年4月1日 改正
平成17年4月1日 改正